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Masaru OKADA, Pianist After studying in Toho Sr. High School, Masaru Okada went to Austria to study at Salzburg Mozarteum and Hochschule der Künste Berlin in '95. He has been awarded 1st prize at A. Schnabel Competition in '97 and at 5th F. Liszt Int'l Piano Competition in '99. He held recitals in Europe and U.S.A. He has performed successfully with Hungarian State Symphony Orchestra under Z. Kocsis. In '01, he was given a Jury Discretionary Award at 11th Van Cliburn Int'l Piano Competition. He also received many awards in Japan. 【岡田将とベートーヴェン】 ベートーヴェン(1770 年~1827 年)は生涯に 32 曲のピアノ・ソナタを作曲しました。23 歳の時の第 1 番Op.2-1 から亡くなる 5 年前の第 32 番 Op.111 まで、彼の生涯のあらゆる時期に作曲されたピアノ・ソナタ全曲を通して、私たちはベートーヴェンの生涯や芸術的変遷を感じることができます。稀代のリスト弾きとして知られる岡田将はベートーヴェン演奏でも高い評価を得ています。岡田将がベートーヴェンのピアノ・ソナタ全 32 曲に集中的に取り組んだのは 2014 年~2016 年の 2 年間。3 か月に一度ずつ、全 8 回のシリーズを行いました。その後、2018 年にはルイス・クラレットとチェロ・ソナタ全 5 曲をレコーディング、2019 年には正戸里佳とヴァイオリン・ソナタ全10 曲演奏会(3 回シリーズ)を完遂するなど、特にこの数年間、ベートーヴェンは常に岡田将の傍らにいます。岡田将はベートーヴェンのことを、「頑固者だけどユーモア好きで、人間臭い人。そして、それぞれのソナタの第 2 楽章のこの世のものとは思えない美しさから、本当はとても優しい人だったんだろうなと思います」、と言います。 【Beethoven and Masaru Okada】 Beethoven (1770-1827) composed 32 piano sonatas throughout his life. We can learn his life and trace artistic transitions of Beethoven through his variety of works composed at different times of his life, from Op.2-1, which he wrote at the age of 23, to Op.111, No.32, which he composed five years before his death. Masaru Okada, known for his outstanding performances of Liszt pieces, is also highly acclaimed for performances of Beethoven pieces. For two years, from 2014 to 2016, Okada entirely devoted himself to performing Beethoven’s 32 piano sonatas. He gave a series of eight concerts, one every three months. Since then, Beethoven pieces have always been close to Masaru Okada, especially in recent years. He recorded all of five cello sonatas with Lluis Claret in 2018. And in 2019, he performed all ten violin sonatas, giving a series of 3 concerts with Rika Masato. Masaru Okada describes Beethoven as “stubborn, and humane who loved senses of humor.” He also adds, “From their surpassing beauty of how he wrote second movements of each sonata, I suspect that he was a very gentle person.” 【ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」について】 ベートーヴェンの音楽を考える時、彼を生涯にわたって苦しめた難聴のことを避けては通れません。ベートーヴェンは 20 代の後半から難聴に悩みはじめました。音楽家として到底受け入れることのできないその運命に抗おうとするものの、難聴はどんどん進行し、ついには全ての聴覚を失ってしまいます。ベートーヴェンは人生に絶望し、一度は死のうとすら思いました。しかし、その絶望の淵から立ち上がることを決意し、運命を受け入れ、最後は人智を超越した自 由な世界へと飛翔しました。ピアノ・ソナタ第 8 番「悲愴」は 28~29 歳頃に作曲されました。ちょうどその頃、難聴が悪化し始めていたそうです。その運命を受け入れたくない、そういう葛藤が伺えます。作品は全 3 楽章から成ります。第 1 楽章は重厚な序奏に続き、嵐のようなパッセージが展開します。続く第 2 楽章はベートーヴェンの作曲したもっとも有名で美しい楽章のひとつだと言われています。そして第 3 楽章。当初、ヴァイオリンとピアノのデュオのための曲として作曲し始められたそうですが、最終的にこのようになりました。“疾走する哀しみ”とでも言いたくなるような主題は第1楽章から導かれたものですが、ここでは感情が押さえられ、洗練を感じます。この主題が何度か現われ、最後には高ぶった感情がぶつけられるようにして幕を閉じます。 【About Piano Sonata No.8